肺炎とは?
肺炎の初期症状は?

肺炎の初期症状としてよくみられるものとしては、咳や熱、だるさなどが挙げられます。これらの症状は風邪とよく似ているため勘違いしやすいですが、肺炎は重症になると命に関わる可能性もあるため、早期発見・早期治療が大切です。
特にご高齢の方の場合、肺炎になっても熱や咳が軽い、もしくはみられないこともあるため注意が必要です。
風邪と肺炎の違い
風邪や気管支炎と肺炎では、炎症の起こる部位に違いがあります。
風邪では鼻や喉といった上気道に、気管支炎では肺の中でも気管支にのみ炎症が起こるのに対し、肺炎では肺実質に炎症が起こります。そのため、異なる症状が生じます。
症状 | 肺炎 | 風邪 |
---|---|---|
熱 | 38度以上、高齢の場合は発熱しないこともある | 37~38度 |
咳や痰 | 痰を伴う強い咳 | 軽度で乾いた咳 |
息苦しさ | 呼吸が浅い、息切れがある | あまりない |
身体のだるさ | 徐々に悪化 | 基本的には2~3日で改善 |
肺炎はうつる?
よくみられる肺炎の多くは人から人へと感染することはなく、隔離が求められる、感染性の肺炎は実際のところ、そんなに多くありません。
肺炎の原因菌のなかでも特によくみられる肺炎球菌は、元々口や鼻に常在しているもので、風邪を引いて抵抗力が低下したときに偶然肺の中に入り込んで炎症を生じさせます。そのため、この菌が周りの人へと感染し、肺炎を引き起こすことはあまり考えられません。
なお、マイコプラズマ肺炎や新型コロナウイルス感染症などは、感染性の肺炎としてよく知られています。
肺炎は放置して治る?自然に回復する?
ウイルスによる風邪は、安静にして身体を温め、十分な水分と栄養をとれば、たいてい数日~1週間ほどで自然に良くなります。一方、細菌による肺炎の場合は、抗生物質での治療が必要になります。軽い症状で若くて健康な方なら通院で治療できることもありますが、重症の場合は入院が必要となります。その理由として重症肺炎の場合、抗生物質の治療だけでなく、酸素投与が必要となります。当院では、重症肺炎と診断した場合、連携する医療機関をご紹介します。
特に高齢の方は、熱が出にくく、代わりに食欲がない、元気がない、ふらつく、意識がぼんやりするなどの症状が現れることがあります。そのため気づくのが遅れがちで、治療のタイミングを逃すこともあります。いつもの風邪とはなんか違うと感じたら、できるだけ早く当院までご相談ください。
肺炎はどのくらいで治る?
適切な治療を受ければ、多くの場合は1~2週間ほどで、胸のレントゲンに写っていた肺炎の影(浸潤影)がなくなり、回復に向かいます。ただし、高齢の方や持病がある方、複数の病原体に感染している場合は、治るまでにもう少し時間がかかることもあります。
また、肺炎の原因となっている病原体が何かを特定するには、検査結果が出るまでに数日かかることがあります。その間に症状が悪化するおそれがある場合は、医師が症状や経過から原因を予測し、早めに抗生物質の服用を始めることもあります。
間質性肺炎とは?

間質性肺炎は「肺線維症」とも呼ばれ、肺の壁が厚く硬くなってしまう病気の総称です。肺の中でも、空気を取り込む小さな袋(肺胞)の壁が変化するのが特徴です。ウイルスや細菌などが原因ではなく、免疫系の異常が指摘されています。
この病気には急に悪くなるタイプと、ゆっくり進行するタイプがあり、胸のレントゲンや肺の検査をしても診断が難しいことがあります。50〜70代に多く、特に60代が発症のピークとされており、決して珍しい病気ではありません。原因がわからないことも多いのですが、関節リウマチや強皮症などの膠原病(こうげんびょう)が関係している場合もあります。主な症状は咳や息切れですが、症状がないまま健診やレントゲンで異常が見つかることもあります。
間質性肺炎には多くの種類がありますが、その中でも「特発性肺線維症」という病気が最も多く、国の難病にも指定されています。“特発”とは原因が不明という意味です。
間質性肺炎では、レントゲンで肺全体に影が広がって見えたり、「パチパチ」「チリチリ」といった音が聴診器で聞こえることがあります。
このような所見がある場合は、さらに詳しい検査のために、専門の医療機関を紹介させていただきます。