咳をすると肺が痛むのはなぜ?

をすると、お腹や胸に一時的に強い力がかかります。その状態が何日も続くと、肋骨の間にある「筋肉(肋間筋)」が何度も使われ、筋肉痛のような痛みが出てくることがあります。この痛みは、筋肉が小さく傷ついて炎症を起こしているサインで、身体をひねったり伸ばしたりしたときに痛みが強まり、じっとしていると楽になるのが特徴です。
また、咳が長引くことで、筋肉だけでなく「骨」にまで負担がかかることもあります。特に中高年の方や、骨がもろくなっている方(骨密度が低い方)、女性に多くみられるのが肋骨の疲労骨折です。知らないうちに肋骨に小さなヒビが入ってしまうことがあります。
その他にも、「肋間神経痛」や、内臓の病気が原因となる「関連痛(かんれんつう)」が痛みの原因になっている場合もあります。
また、肺には肺を覆う「胸膜」という膜があり、胸膜が何らかの原因で炎症を起こし痛みを引き起こす「胸膜炎」という病気があります。原因としては、細菌感染や結核感染、がんや自己免疫疾患によるものなど多岐に渡ります。
咳による痛みが続くときは、早めにご相談ください。
咳のしすぎで骨折?

咳が長く続くと骨折してしまうことがあります。咳で繰り返しかかる強い力によって、肋骨に少しずつダメージがたまっていくことがあります。その結果、転んだりぶつけたりしていないのに、肋骨にヒビが入ったり、骨折してしまうのです。特に骨がもろくなっている方は注意が必要です。咳をすると胸の一部がズキッと痛む場合などは、早めに医療機関でご相談ください。
肋骨の疲労骨折を
起こしやすい人の特徴
肋骨の疲労骨折は、風邪や喘息、肺気腫などで咳が長期間続いている方や、特に閉経後の女性など骨粗しょう症のある方、長期間ステロイド薬を使っている方、過去に骨折の経験がある方などに起こりやすいため、注意が必要です。
肋骨の疲労骨折が
疑われる症状
- 咳や深呼吸をすると胸がズキッとした鋭い痛みがある
- 圧痛がある(押すと特定の部分が痛む)
- 動かずに安静にしていてもズキズキとした胸の痛みが続く
- 寝返りしたり、仰向けになったりすると痛みが増強する
肋骨の疲労骨折が
疑われるときの検査
肋骨の疲労骨折は、レントゲンでは写らないことがあります。その場合、数日経ってからもう一度レントゲン検査をやり直すこともありますが、CT検査が必要で得あると判断した場合には連携している医療機関をご紹介いたします。
肋骨の疲労骨折の経過
肋骨の疲労骨折は、安静にしていれば多くの場合4〜6週間程度で自然に回復します。並行して、咳の原因となっている病気の治療を実施します。
咳のしすぎで
片側の胸が痛いとき
咳を繰り返しにより、右側だけ・左側だけといった片側の胸に痛みが出ている場合、「肋間神経痛」が疑われます。肋間神経とは、肋骨と肋骨の間を走る神経のことです。この神経が咳やくしゃみ、姿勢のくずれ、ストレスなどによって刺激されると、ズキッと刺すような痛みが出ることがあります。咳以外にも、長時間の同じ姿勢や、ストレス、疲れなどが原因になることがあります。痛みが長引く場合は、早めにご相談ください。
激しい咳や胸の痛みとなる病気
咳や胸痛を伴う感染症
(かぜ・肺炎など)
気管支炎
気管支が炎症を起こすことで咳が長引き、咳の繰り返しで肋間筋や胸部の筋肉に痛みが生じることがあります。
肺炎
肺の炎症が原因で、発熱、咳、痰、胸痛などの症状がみられます。原因は細菌性、ウイルス性、マイコプラズマ性など様々です。(詳しくはこちら)
気管支肺炎
気管支から肺胞まで炎症が拡大し、強い咳、胸の痛み、発熱を引き起こします。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
新型コロナウイルス感染症でも主な症状として咳と胸痛がみられることがあります。
胸に鋭い痛みや
呼吸困難が出る病気
胸膜炎
肺を包む胸膜に炎症が起こり、咳や呼吸時に鋭い胸の痛みが生じます。
気胸
肺から胸腔内に漏れ出した空気によって、急な胸痛と呼吸困難、乾いた咳が生じます。
肺塞栓症
肺の血管が血栓によって塞がれることで、突然の胸痛や呼吸困難、咳などが生じます。
慢性的な咳・息切れ・胸の違和感が続く病気
喘息
気道が炎症と狭窄を起こし、特に夜間や早朝に咳やゼーゼー・ヒューヒューといった喘鳴が生じます。胸が締めつけられるような感じがすることもあります。(詳しくはこちら)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
長年の喫煙などが原因で気道が慢性的な炎症と狭窄を起こし、咳、痰、息切れ、胸部の不快感が現れます。(詳しくはこちら)
百日咳
ケンケンというような咳発作が続くのが特徴で、咳によって胸痛や筋肉痛が現れることがあります。(詳しくはこちら)
過敏性咳嗽
特定の刺激に敏感に反応して起こる、慢性的な咳のことです。
胸の不快感や
咳が目立つ心臓の病気
心膜炎
心臓の周りにある心膜が炎症を起こし、胸の中央または左側に鋭い痛みが生じます。呼吸や咳で痛みが悪化するのが特徴です。
心筋梗塞
主な症状は胸痛ですが、特に高齢の方や女性では咳や息切れが生じることもあります。
心不全
心臓の機能が低下することが原因で、咳や息切れ、胸部の不快感が生じます。横になったときに悪化するのが特徴です。
胸の違和感や
咳を引き起こすその他の病気
胃食道逆流症(GERD)
胃酸が逆流することで刺激が生じ、慢性的な咳や胸やけが現れることがあります。